今さら恋なんて…



「…龍哉」


「…はい」


「…あたし…怒ってないから…」


「ホントですか?」


前を向いていても、龍哉があたしを見つめているのを感じる…。


「う、うん…」

シーフォートへ続く道へとハンドルを切りながら、あたしはカクカクと頷く。


「…よかったです」

心底ほっとしたような声で、龍哉は呟いた。


あたしも何だかほっとしながら、シーフォートの玄関の少し手前に車を着けた。


さすがに玄関横付けは気が引けた…。


あんなにさっきは張り切ってたのに…いざとなったら恥ずかしくなってしまったからだ…。


歩み寄ってこようとしたドアマンが、助手席に座る龍哉の姿を見つけると、驚いた様に足を止めた。


「あ。俺だってバレちゃいました…」

龍哉はシートベルトを外しながら苦笑いをする。



< 348 / 479 >

この作品をシェア

pagetop