今さら恋なんて…
「……んま、仕方ないよね」
あたしもサイドブレーキを引き、シートベルトを外しながら苦笑いで返す。
「行ってらっしゃい、龍哉」
あたしはひらひらと手を振りながら、そう笑った。
「はい。ドライブ楽しかったです。ありがとうございます」
龍哉はそう言って笑うと、あたしの顔を見つめた。
「……?」
思わず首を傾げると、
「行ってらっしゃい、のハグ、しません?」
なんて、龍哉は笑った。
「……はっ!?」
「いやぁ、何か味気なくないですか?」
「え、ちょ、待って。何、言ってるの?」
「このまま俺が降りたら…司さんの思惑とは違ってしまう様な気がして…」
「は?え?何の話?」
「このままじゃ、“朝帰りの相手”って言うよりは…“俺を送迎してきた保護者”的な感じになりますよ?司さん…」
「保護者だと!?」
龍哉のあまりの言いぐさに、あたしは思わず声をひっくり返した。