今さら恋なんて…
「…そうか?…仕事の邪魔して悪かったな、鷹岡」
龍哉はそう呟くと、あたしの手を引き、椅子から立ち上がらせてくれた。
「……いいけど…」
苦笑いを浮かべるアタル。
「ごめんね、アタル。…またね」
「はい。また」
ひらひらと手を振ったあたしを連れ、龍哉は歩き出す。
「今日は車ですか?」
「ううん。タクシーで来たよ。…急用かと思ったし…」
「す、すみません…太田さんに半分脅されていたと言うか…」
「お…脅す?」
「はい…。“あたしに紹介出来ないのか?”って…。俺、太田さんが教育係だったので…未だに逆らえないんですよね…。すみません、司さん…」
そうあたしに謝る龍哉のあったかい手は、当たり前の様に、あたしの背中に添えられている。