今さら恋なんて…
そこからしばらくは混み合う車内で会話をするのもなんだろう、と思って、お互い景色を見ていたが、ふと視線に気付いて、そちらを見ると、少し離れたところに立っていた大学生らしき女の子2人が、龍哉をチラチラ見て、きゃーきゃー言っていた…。
「……またモテてるわよ、イケメン」
ぼそぼそと龍哉を見上げて呟くと、龍哉は、
「……知りません…。俺のせいじゃないですよ」
なんて呟いて、女の子達の視線から逃れる様にあたしの方を向いた。
すると、必然的に女の子達の視線はあたしに集中し、あたしの顔と、あたしの腰に回された龍哉の手を交互に見て…こそこそと話を始めた。
「……何か噂されてる…」
「“綺麗な人だねー”って言われてるだけですよ」
「……絶対違う…」
唸る様に呟いたあたし。
「まぁまぁ。怒らないでください」
龍哉は小さい子でも宥める様な口調で呟くと、あたしの頭にこてんと自分の頭を傾けた。
「!」
あたしは必死に声が出そうになるのを抑えたが、例の女子大生風の2人は、
「ひゃー」
なんて声を揃えて悲鳴を上げていた…。