今さら恋なんて…
水族館は程良い混み具合で、当然の様にあたしは龍哉に腰を絡め取られたまま、中を進むことになった。
「ねぇ…」
「はい?」
「…別にこうしてなくても迷子になんてならないわよ?」
水槽の前で立ち止まる度、周りのカップルにこそこそと何やら呟かれていたあたしは…業を煮やして龍哉にそう言った。
龍哉は、あたしの顔とあたしの腰に回した自分の手を交互に見ながら、
「……嫌、ですか?」
って首を傾げた。
「……嫌、じゃないけど…」
「じゃぁ、このままでいいですか?」
「……分かった」
ダメだ。
断れない。
龍哉のこと嫌いじゃないし…だから、無下に断れない…。
「中、薄暗いですし、俺を頼っていいですからね」
「……ん」
「休憩したくなったら言ってくださいね」
「……ん」