今さら恋なんて…
「…司さん。飲み物、どうします?」
「……白ワインでいいよ…」
「…じゃぁ、俺は生ビール」
「かしこまりました。お待ちください」
店員さんは、頭を下げると、のれんを直し、立ち去っていった。
「…今週は忙しかったんですか?」
龍哉はおしぼりで手を拭きながら訊いてくれる。
「……ん」
あたしも龍哉の真似をしながら、ポツリと呟いた。
まさか、“龍哉のこと考えたくなくてメール無視してた”なんて言えないし…。
色々訊かれるの怖いのに…結局こうやって居酒屋来ちゃったし…。
手持ちぶさたで、おしぼりを何度も広げたり畳んだりしながらあたしはそう考えていた。
そこへ、
「お待たせしました」
って、店員さんが飲み物を置いていってくれる。
あたしの様子がおかしいことに気付いたのか、龍哉は、
「注文、あとでもいいですか?」
って断って、店員さんに下がってもらった。