今さら恋なんて…



「かしこまりました。お待ちください」

彼女は柔らかい笑顔を残し、席を離れていった。


(…ったく。“話がある”って言うから来たけど…ホンット面倒だなぁ…。何言うんだろう、この人…)


目の前の男はあたしのお客様だ。


けっこう長く通ってくれてて…あたしの言うことにはおとなしく従う人で…。


普段、店の外でお客様に会うことなんてないんだけど、“話があるんだけど…お店じゃちょっと”なんて言われちゃって…ちょっと…いや、かなり面倒だった。


でも、どこまで行ってもこの人は『お客様』だから…無下には出来ない。


「……」

窓の外に広がる海を眺めながら、ため息混じりにお冷やを1口飲んだあたし。


すると、目の前の男は、自分の分のお冷やをぐいーっ、と一気飲みして、そのコップをテーブルに叩き付ける様に置いた次の瞬間、

「つ、司さん!…ぼ、ぼ僕と、け、け、結婚してください!」

って、カフェに響き渡る様な大声でそう言った。




< 8 / 479 >

この作品をシェア

pagetop