今さら恋なんて…
「かしこまりました。お待ちください」
彼女は柔らかい笑顔を残し、席を離れていった。
(…ったく。“話がある”って言うから来たけど…ホンット面倒だなぁ…。何言うんだろう、この人…)
目の前の男はあたしのお客様だ。
けっこう長く通ってくれてて…あたしの言うことにはおとなしく従う人で…。
普段、店の外でお客様に会うことなんてないんだけど、“話があるんだけど…お店じゃちょっと”なんて言われちゃって…ちょっと…いや、かなり面倒だった。
でも、どこまで行ってもこの人は『お客様』だから…無下には出来ない。
「……」
窓の外に広がる海を眺めながら、ため息混じりにお冷やを1口飲んだあたし。
すると、目の前の男は、自分の分のお冷やをぐいーっ、と一気飲みして、そのコップをテーブルに叩き付ける様に置いた次の瞬間、
「つ、司さん!…ぼ、ぼ僕と、け、け、結婚してください!」
って、カフェに響き渡る様な大声でそう言った。