今さら恋なんて…
「……」
思わず目が真ん丸。
あたしの視線の端には、びっくりした顔をしている他のお客さん達の顔が映る。
恥ずかしい…。
そう思った次の瞬間、目の前の男はガタガタと音を立てながら立ち上がり、テーブルに頭突きする様なお辞儀を残し、脱兎のごとくその場からものすごい勢いで走り去って行った…。
「……」
…な、何だ、あれ…。
つーか、逃げやがった…。
男が去った余韻で揺れているコップの水をぼんやりと眺めていたら…、
「ホットコーヒーでございます」
と、いい香りを漂わせるコーヒーが目の前に置かれた。
「……」
思わず顔は動かさず、目だけでウェイターの彼を見上げると、
「お連れ様は帰ってしまわれたんですか?」
と、苦笑いとともに呟かれた。