ゆとり社長を教育せよ。
誕生日だというのに落ち込み気味の気分を上げるため、会社帰りにコンビニによってケーキを買うことにした。
レジでひとパック二個入りのそれをスキャンする店員の手元を見て思う。
このケーキを二つとも一人で食べるっていうのがまた切ないけど、甘いものは好きだからいいんだもん。
シーズン的に苺の乗ったものがなくて、華やかさに欠けるモンブランだけどいいんだもん。
ろうそく立てて、ハッピーバースデイトゥーミーとか歌えば寂しくないもん。
…………いや、どう考えてもそれは切なすぎるからやめよ。
どんなに元気づけてもいまいちテンションの上がらない自分にうんざりしつつ、コンビニから出て自宅の方向へ向かう。
その途中、またしても誰かから電話がかかってきて、バッグに手を突っ込んでスマホを取り出すと、その電話は充からのもので。
「……もしもし」
もしかして、私が今日誕生日だと知って……?
なんて、ちゃんとスイッチ切ったはずの乙女美也が勝手に起動して、そんな期待を抱く。
すると、何故か妙に焦ったような声の彼に、迎えに行くと言われた。
「迎え? いりませんよ、もうすぐですもん、家まで。それに私たちはもう……」
本音を言えば、逢いたかった。
でもそれを素直に言えないのもまた、乙女のメンドクサイところだ。
すっかりセンチメンタルな気分になっていると、電話の向こうから、今度は思いもよらぬ人の声が聞こえた。
『高梨、お前ホント危ないからコンビニ戻れ!』
霧生くん……? なんで二人が一緒に居るんだろう。
それに、二人とも何をそんなに切羽詰まって……