冬美の初恋
こんな手で、汚れをとろうとしても…また汚れるだけだ。

「……………」

どうすればいいのかわからず、雨を見つめた。

「……………」

雨は、とても優しい目をしている。

「……好きだよ」

もう一度、言ってみた。

「………知ってる」

そう微笑んだ雨は、顔を近づけてきた。


………キス、するのかな。



どうしよう、ドキドキしてきた。

私は、目をつぶった。




……………。



ガザッ



キスされるかと思ったら、いきなり歩道側の雑木に押し倒された。

「………?!」

驚いて目を開けると、雨が私の上にで倒れ込んでいた。


「雨…?」

「……………」

返事が、ない。

「ちょっと、雨?!」


顔を上げると、雨は顔面から雑木に突っ込んでいた。

「………………!」


「そこで何してんの?!」

離れたとこから声が聞こえて、見ると作業服を着たおばちゃんが駆けつけてきた。

多分、この田んぼの持ち主だった。

「すいません、でも、あの……雨が」

私は雨の体をゆすった。

「雨………返事して!!」
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