冬美の初恋
私の制服は泥まみれになってしまった。

なので、雨がたまたま持ち帰るつもりで持っていたジャージを借りた。

足は、ダメになった私のローファの代わりに、おばちゃんがくれた古いサンダルを素足ではいている。

ちなみに、雨もブレザーが汚れたので、中に着てたTシャツ一枚と、ズボンは膝までめくりあげたままだった。

「…良い人だったね」

私も顔中、絆創膏だらけだ。

私も雨も、体のあちこちについた傷をおばちゃんに消毒してもらった。


「ん。てか……言うなよ」

「へ?………………………あ、気絶したこと?」

「……………」

雨はスタスタと前に行ってしまった。

相当、恥ずかしかったみたい。

先ほど、私が目をつぶった時に、雨は沼の中で足のバランスを崩したのだ。

しかも、茂みに倒れた衝撃で…気絶してしまったらしい。

「雨……キャンッ」

雨を追いかけようとして、足がもつれて転んでしまった。

「……………」

雨は黙ったまま、私の前にしゃがみこんだ。

「………何これ…?」

雨が拾ったのは、さっきおばちゃんにもらった種だった。
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