愛されオーラに包まれて
遥香の部屋には、勉強机、タンス、ベッド。
ピンク色が基調の、いかにも女の子らしい部屋だ。

女性らしさが足りない遥香とはちょっとイメージが違う、と言ったら怒られるかな。

『お父さんはね、整理整頓だけは厳しかったかな。それ以外は何も言わなかった。勉強しろ、とかもなかったし。説教されたこともほとんどないし』

ベッドに座った遥香。

俺は窓の外を見た。

田んぼと畑があるんだろうな、という景色。
今は冬。実っているものは何もないけど。

『私ね、早く自立したかったの』
「ん?」
『ここを出て、東京でバリバリ働きたかった。お父さんにお小遣いをもらったりするのがイヤだったし、学費も払わせるのも・・・と思った時、お父さんに言われたの。自分の将来の選択肢を広げるには、出来るだけいい大学に入った方がいいって』

確かに、お父さんの言うとおりだ。
学歴社会であることを思うと、夢がないならいい大学を出ろっていうのが親の切なる考えだ。

『でも最初、私は高校出たら就職しようかと思っていたの。そうしたらさ、うちの学校で就職希望が私ともう1人だけで』
「へぇ、結構進学校通っていたんだ」

遥香に高校名を聞いたら、確かに、俺の通っていた大学にもその高校の出身者がいたと思う。

国立最高峰の東都大学の入学者を何人も出す県下の進学校だ。
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