愛されオーラに包まれて
『お父さんも、そんなに強く言ったわけじゃないんだけど、私はお父さんの言う通りだと思って、学校に進路希望の変更を申し出たの。星恵大目指すって・・・』

この言葉の途中で、遥香の声のトーンが明らかに落ちた。

『仲良くしていたもう1人の就職希望の女の子にその話をしたら"裏切り者""アンタなんか大嫌い"って言われて、そこからもうすっかり疎遠で』

遥香はうつむいた。

『元気にしてるかな?って一番会いたい子なんだけど・・・きっと彼女は、本当は進学したかったのに、家庭の事情で働かざるを得なかったから』
「今、何をしているか知ってるの?」
『変わってなければ、わかば堂書店で働いているはず。彼女、本が好きでね。でも、少なくとも本店では姿を見たことないし、全国に店舗が沢山あるから、どこにいるのかも分からないし。店員さんに聞く勇気もないし』
「そんなの、簡単じゃん」

俺は、越後の時の遥香のように、友人関係のしこりを、何とか解決できないかと考えた。わかば堂書店の人だったら、尚更だ。

「花村が、わかば堂書店の全店舗の担当者で、全国各店舗のジャンル担当の一覧を持っているから、入社して5年目だろ?多分担当者として名前が載っていると思うし、それを見れば一発だよ」
『そうか』
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