愛されオーラに包まれて
『神戸さんを外してもらうのは簡単だろう。地方の書店に飛ばすことだってできるだろうし。でもそれでは本当の意味で高松の心の傷は塞がらない。ただ逃げているだけだからな』

局長はひと息ついた。

『今回の話は、高松よりもむしろ神戸さんの方が心の闇が深いと思われる。彼女の闇の謎を解かない限り、高松も救われない』
『なら、どうしたら…』

局長は少し考えた後、

『なぁ、この話、俺に任せて貰えないか?』

え、局長に?

『お任せするっ…て?』

泰河も分からない様子。

『神戸さんを巻き込んで、高松の傷を治すんだ。あらゆる方法はあると思うが、やり方も含めて、俺に任せてくれ。当然、責任は俺が取るから』
「は、はい…」

何の策もない私は、上司である局長にお任せするしかなかった。

『桐生、高松をこの週末は絶対ひとりにさせるな。高松が嫌がるくらいに引っ付いていろ。高松が、ひとりになって考え込む時間を、極力減らすんだ。週が明けたら、金澤にも頼んでおく』
『分かりました』

"遅くなったな、送っていくよ"と、局長のファミリータイプのボックスカーに乗って、泰河の家に送ってもらった。
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