愛されオーラに包まれて
「それは、その…今回のことで、せっかく飲み仲間にしてもらえた桐生さんと、疎遠になってしまっていることです」

そうだ。

私は桐生さんと話せてないのが寂しいんだ。

『ふぅん。じゃぁ、明日からファイトだね』
「え?」
『心配ないよ。桐生くんも遥香ちゃんと同じように考えてるよ。でもね』

玲奈さんは顎に手を当てると、

『桐生くん、ちょっとカッコつけで見栄っ張りなところがあるから、素直にさせるのは大変かもね』
「本当に、桐生さんも私と元通りに接したいと思っているのでしょうか…」

『大丈夫。あ、そうだ。遥香ちゃんは、局長のことが好きなんでしょ?』
「え?あ、はい…でも、歓迎会の時には"お前は10年早い"と言われてしまって」

すると、玲奈さんは鼻で笑った。

『10年経つと、40超えちゃうじゃんね。オジさんになってるかも知れないのに』

40過ぎた局長でも、きっとカッコいいと言える自信がある。

「局長って、かなりミステリアスですよね。パーソナルデータが何にも分からないです。玲奈さん、何か知ってることありますか」
『うーん、東都大学卒業だけど、学部はどこなんだろ?経営学修士を取ったみたいだけどね。あ、誕生日が8月12日』

後ろで木村さんがクスクス笑っているけど、何でだろ?

でも、誕生日情報は貴重だ。
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