*あかずきんちゃん*
赤ずきんちゃんは体を震わせて怯えた声をだした。
「あ…………」
ぼくって最低だ。
赤ずきんちゃんが怖い思いをしたのに、ぼくはそんなことも考えず、喜んでいた。
自分のことしか考えてなかったってことに今さら気がついた。
あんなに怖い思いをしたんだもんね、仕方ないよね。
もっと早く、ああやって倒していれば、赤ずきんちゃんは襲われずに済んだんだものね。
嫌われてもしょうがない。
側に……いない方がいいね。
自分勝手なぼくの顔なんて、見たくもないだろうね。
ぼくはこの村にいない方がいいかもしれない。
「ごめんね……」
大好きだったよ。
バイバイ。
ぼくは、赤ずきんちゃんから背中を向けて、人間ふたりを両肩にかつぐ。
そうして、となり村に行こうと決めた。
その直後だった。
ぐいっ!!
「え?」
ぼくの……腰に絡みつく細い腕が見えたんだ。
ゴトン、ゴトンッ!!
びっくりして肩にかついだ人間をドサリと地面に落っことしてしまった。
人間ふたりが大きな音を立てて、体が岩に直撃したのは……まあ、どうでもいいや。