死が二人を分かつとも
(二)
“地獄の最果て”。
地獄の終わりであり、死人が生まれ変わる場所らしいけど。
「んー、そこ右ですかねー」
唯一、その場所を知っている案内人がこれでは、一生かかってもたどり着けないのではないかと思えてきた。
「覚えてないんなら、覚えてないでいい。お前の勘頼りで進むのは嫌だ」
「大丈夫っすよ、やっさん!手前はもう、ここに長いこといるんですよ!大船に乗ったつもりでいて下さい!」
そんな会話も、実はだいぶ前にした。
時計がないから、もうしかしたら10分程度前なのかもしれないけど、大船に乗ったつもりが目的地に辿り着かない遊覧船だったりする。
「わわ、やっさん早いです。ぐらんぐらんします!」
「なら、飛べ」
「疲れたんですから、しょうがないじゃないですかー」
クレームつけるチロは、現在、弥代くんのベルトに足をかけて逆さ吊りの真っ最中だ。
ますますコウモリらしい逆さまスタイル。翼を閉じて、弥代くんから離れない。
「そうして見ていると、ストラップみたいだね」
「売れますかね!?」
「壊れた防犯ブザーを買いたがる奴はいない」
うるさくて仕方がないと、つけている本人は嫌々だった。
なら私の肩に乗せたいところだけど、それは弥代くんから却下されている。
弥代くんも案外、チロのこと好きなのかもしれない。チロは弥代くんにも懐いているようだし。
「売れるとか、チロは結構、私たちの世界のこと分かっているよね」
言葉もかなり堪能で知識もある。どこで覚えたのか気になった。
「行ったことはないんですけど、たまーに死人さんから話を聞くんです。大概の奴は、手前見るなり暴力振るいますけど、優しい人もいました。指折りですけど」
「地獄に来る奴に優しいなんて……は、愚問か」
弥代くんの目が私を映す。
「天国に行くか、地獄に行くかは神様決めるんですけどねー。そよ香さんとやっさん来るぐらいですから、審査厳しいのかもしれませんよー。それか、死人さん多くて間違いが時折あるとか。ともあれ、手前が言葉やそよ香さんたちの世界のこと知ってんのは、教えてもらったからです!手前、勉強しました!」
逆さまストラップスタイルで、えへんと胸を張るチロだった。
チロが『手前』と聞き慣れない一人称使うから、少し気になっていたけどーーもうしかしたら、『教えてもらった人』が昔の人だったりしたのかもしれない。
地獄の住人と言うからには、寿命はないだろうし。案外、何百年も生きている動物だったりして。言葉が堪能になるのも頷ける。
「あ、道が分からないなら、チロと同じ子に道を聞けばいいんじゃないかな。チロと同じ“飛べる子”は、私たちに危害与えないんだよね?」
チロが仲介役として聞いてもらえばいい。提案を一つ出してみたが、戻ってきたのは沈黙だった。
「……、うぅ。やっさんー」
「うるさい」
沈黙あとに、涙。それをあしらう弥代くん。
けれども、チロは弥代くんの手を翼で挟んでいた。手を握っているつもりなのかな。
「わ、悪いこと聞いちゃった?」