死が二人を分かつとも
「い、いいんです。手前は死人さんたちと話したりするのが好きなんですが、他の仲間やらないんすよー。襲われるって分かっているから、つか、そーなんですけど、手前はそれでも、話したりするのが好きで……。そんなことやっていたら、いつの間にか群れから離れちまって。いざ見つけたら、変わり者ってのけ者にされたり……うぅ」
「俺が潰した残骸に、こいつとおんなじコウモリが群れて来た。食事しに。そん時、チロは」
「やっさんー!」
涙を弥代くんの手で拭き始めた。
私が寝ている間に、ほんと色々あったみたいだ。
チロが弥代くんに懐いている理由は、その時のことが大きいのかもしれない。
仲間からのけ者に。イジメられていたチロを、きっと、彼はーー
「そよ香?」
呼びかける弥代くんだけでなく、私でさえも疑問符を上げたくなった。
足が止まる。
焦燥感にみまわれる。
手のひらからじわりと汗が浮き出てきた。
なんで、いきなり。
ーー泣きたくなるんだ。
「おい、どうした……!」
「あ、ごめっ。な、なんか、急に」
胸が痛い。
漠然と、痛む。
「そよ香さん、もうしかして、手前を思って?だ、大丈夫っすよ!やっさんが助けてくれました!みんなして、手前を『変わり者』だとか酷いこと言ってけなして来ましたけど、やっさんは『一人相手に大勢で恥ずかしくないのか』って、びしぃとかっこよく手前の味方をーーふぐっ」
「喋るな、コウモリ!“それのせい”だ!」
口を塞がれたチロに、切羽詰まったような弥代くん。
焦っている弥代くんは、全ての合点がついていたらしい。
「そよ香、別のこと考えておけ。……別のこと、思い出せよ」
何のことかピンとこないなら、思い出していないのも同然だった。
涙は自然と引っ込む。
立ち止まった足も、彼が促せば自然と進んだ。
「やっさん、なら、そよ香さんとの思い出話して下さいよ。手前も聞きたいです!」
自由になった口で真っ先に話したのはそんなこと。人と話すのが好きなチロは、同時に、ここにはない私たちの世界にある話ーー新鮮味溢れるものを聞きたがっている。
「私も、聞きたいな。弥代くんのこと思い出して来たけど、細かなところとか聞きたい」
「細かなって……。デートは大概、俺の部屋だったし」
「部屋で何してたんすか?トランプ?」
「お前がいるから言わない。そよ香が照れるからな」
「照れるようなことしてたの!?」
「お前、結構大胆だった」
やっぱり言わなくていいっと口止めする。
記憶にないけど、彼の部屋にいればそんなことあってもおかしくはないのか。
「大胆……?あ、添い寝っすね!」
「お前が当てるのか。もうちょっとそよ香をからかいたかったんだが」
二人の会話に、赤くなった頬が冷めていく。
「そ、添い寝……だけ?」
「こっちの気も知らないで、抱き枕代わりにされた時は本当にヤバかった。お前、かなり真面目だったから」