死が二人を分かつとも
真面目な私を誉めるべきか否か。
でも、大胆と聞いたときに、まだ高校生なのにと思うあたり、私は私のまま。記憶がなくなる前と変わりない性格だ。
友人が、『そよそよ、昔の考えー』と茶化す光景が目に浮かぶようだった。
「いいっすね、添い寝ー。手前もしたいです!あったかそうです!」
長い年月生きていても、子供のように純真無垢なチロだった。
チロには、このままでいてほしい。
「もしも、生まれ変わりを望んだら、チロとはお別れになっちゃうんだよね……」
寂しいと込められた言葉に、チロも悲しそうな顔をした。
「手前は住人ですから、生まれ変わりは出来ません。残骸あたりに殺されない限り、ここに住み続けます。寂しいですけど、もしかしたら、これからまたそよ香さんみたいな人が来るかもしれませんし、手前はまたその人を地獄の最果てまで道案内しますよ!」
「チロこそ、地獄よりも天国が似合うよ」
「そよ香さんみたいに、優しいってことですか?」
「私以上に凄い」
「道案内がしっかりしていれば、俺より凄いと言ってやるよ」
水差す弥代くんだった。
けれども、しょげないチロは『やっさんより凄くなる』を目標に案内を再開する。
「とりあえず、左でー」
「とりあえずかよ……。同じ風景だが、いいのか?」
相変わらずの枯れ木。灰色の土には足跡もなくまっさら。ところどころに雨の名残たる水溜まりがあるぐらいだ。
ただ、あの水溜まりの形さっきも見たようなと目印代わりには使える。……そう思ってしまう時点で、チロの案内は当てにならないのかもしれないけど。
「そよ香さん、水溜まり!」
止まる。
同じ形の水溜まりは明後日の方向にあったから、足元がお留守になっていた。
「気をつけて下さいよー。浴び続けたら溶ける水なんすから、飛沫だけでも痛い目見ます!」
逆さまだからこそ、私たちの足元に気を配れるチロにお礼を言う。
浴びたら溶ける水。胃液みたいな物なのか。少し触って確認したい怖いもの見たさが出てきた。
「そよ香がやるなら、いっそ、こいつを放り込んで確かめる」
チロともに、「えっ」と声を上げてしまった。
「私の考え、分かるのっ」
「水溜まり凝視していれば、察せる。無茶なこと考えているなって」
「そよ香さん、危ないもんは危ないっす!」
二人からお叱りを受けたので自重する。
甘く見すぎていたようだ。