愛を欲しがる優しい獣

(シャワーでも浴びるか……)

久し振りに嫌な夢を見たせいで、寝汗がひどかった。

あれはいつのことだっただろう。学ランを着ていたからおそらく中学生の時のことだ。

俺を利用するだけ利用した彼らとは、中学校を卒業したらそれっきりになった。

もう、顔もよく覚えていない。

飲み終わったばかりのペットボトルをぐしゃりと握り潰す。

嫌な思い出と一緒にゴミ箱に思い切り放り投げると、少しだけ胸がすっとした。

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