愛を欲しがる優しい獣

「さあ、俺達も行こうか」

リビングに戻ると丁度3人とも俺がひろむくんの誕生日に贈った変身ベルトで遊んでいるところだった。

おもちゃを片付けてコートとマフラー、手袋を3人に厳重に着せる。

「寒くない?」

子供用の服は小さくて、本当に防寒できているのか心配になる。油断して風邪でも引かせたら、それこそ佐藤さんに申し訳ない。

短い秋はとっくに過ぎ去って、冷たい木枯らしは容赦なく吹き付けてくる。枯葉は宙を舞い、アスファルトに絨毯のように敷き詰められていた。

……もうすぐ冬が始まろうとしている。

「こんなに着ていたら暑い」

「暑くなったらあとで脱げば良いんだよ」

今にも脱ぎ出してしまいそうな陽くんを宥めて、俺達は連れ立って櫂くんの通う中学校へと向かった。

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