ストーンメルテッド ~失われた力~

ふと、それは何時までたつのだろうと思った隼人は、ゆっくりと目を開いた。

目の前の光景に......彼は、思わず息を飲み込んだ。

誰もいなかった。

目の前にあるのは、校庭に植えられたまだ若々しい木々と、その少し先にある、アスファルトのみ。

目を疑ったが、直ぐに彼は我に返る。

「夢......か。夢だよな。どうかしていたよ。......本当に」

そう一言、口にすると彼は背後を振り向いた。


そこには、明日のサッカーの試合に向けて懸命に練習を続ける部員たちの姿と、鬼のような顔付きで、指導する教師。

それから......

「おい! 早く来いよ」

と、古賀 涼太郎。

彼は、隼人の姿に気ずつなり、笑顔でそう言った。

「あぁ!」

そして、隼人はその声に答え、グラウンドの方へと足を運んで行った......。

まるで、何事もなかったかのように。

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