声をくれた君に


「な、なによ…」

「私は、ただいつまでも小田さんの敵でいるのが嫌なだけだよ」

謝ってほしいわけではない。

謝りたいわけでもない。

仲良くしようなんて、まだ難しい。

ただ、敵だなんて思いたくない、思われたくない。

小田さんをひとりにしたくない。

小田さんに、誰かに、辛い思いなんてしてほしくない。

「あんたは、あんたは一生私の敵なの!

だって佐野くんのこと盗ったじゃない!

私は…あんたが転入して来る前からずっと、佐野くんのこと好きだったのに

あんたが転入してきて、最初は声出せないなんて可哀想くらいにしか思ってなかったけど

私が佐野くんに告白したら、俺は櫻田が好きだからって、振られて…

あんたが転入してからたった1週間しかたってなかったのに!」

(え…なんで…?)

「私はずっとずっと好きだったのに

たった1週間のあんたに盗られたのよ!

許せるわけないじゃない!

それに、私の方が、私の方が絶対

佐野くんのこと、好きなんだから!」

(そっか…

敵ってそういうことなんだ)

どちらが悠梓くんのこと大好きか

そういう敵。

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