声をくれた君に


「…いきどおり」

「え…?」

「強いいきどおり!」

(読み方、教えてくれてる…?)

私に小声で教えてくれたのは、小田さんだった。

「つ、強いいきどおりを感じている!貧困層の中では、日々争いが絶えず…」

(小田さんが、読み方教えてくれた…

どうしよう、嬉しいすぎる!)

私は国語の授業のあと、小田さんに話しかけた。

「さっきはありがとう!

ほんとに助かったよー」

「あんな漢字も読めないなんて、ばかじゃないの」

「う…」

(ごもっともです…)

「借りを返しただけだから、お礼とか言わないで」

(あ、数学の時のことだ…!)

「ふふっ、了解!

また数学で困ってたら私が助けるよ」

「調子に乗らないで」

小田さんは席を立って教室を出てしまった。

「慰める必要ないみたいだな」

話を聞いていたのか、悠梓くんが私の方に振り返った。

「うん、ちょっとは仲良くなれたかも!」

「かなりあんたの一方的だけどな」

「そ、それは思っても言わないでよ…」

「でも、あんたはやっぱりすげーな」

そう言って笑いながら私の頭を撫でてくれた。

(頑張ってよかった、ふふっ)



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