声をくれた君に
材料を泡立て器で混ぜ合わせていると、後ろから足音が聞こえた。
「悠梓くん…?」
「まだ?」
「まだって、5分も経ってないじゃない、ふふっ」
「待ちくたびれた」
「もう、ちゃんと大人しく待ってて」
「やだ」
(なんか、甘えんぼだ、可愛い…)
「珠李…」
「わわ!」
悠梓くんは泡立て器でかき混ぜる私を後ろから抱きしめた。
「珠李、エプロン可愛い」
「も、もう、作業しづらいよ」
私は照れ隠しにそう言ってのけた。
「なんか、奥さんみたい」
(お、奥さん?!)
「あれ言ってみて」
「あれって?」
「ごはんにする?お風呂にする?みたいなやつ」
「ああ、定番だよね!」
(それくらいならやってあげてもいいかな…)
私は泡立て器を置いて、悠梓くんの方に体を向けた。
「おかえりなさい!
ごはんにする?お風呂にする?
それとも、わ・た・し?」
(こういうのは照れたら負けだもんね)
すると悠梓くんは固まったまま、顔を真っ赤にした。