声をくれた君に
「だから助けたいって思った。
あんたの夢を叶えるために、俺は声を取り戻してやりたいと思った。
でも、半分は俺のためだった」
「悠梓くんのため?」
「俺を助けてくれた、俺が大好きだったあんたの声を
もう一度聞きたかった。
だから半分は俺のワガママだったんだ、ごめん」
(そうだったんだ…)
「そんなの、なおさら嬉しいよ。
私の声を好きだって思ってくれるなんて…
そんなワガママだったら、嬉しいに決まってるよ」
私は悠梓くんにぎゅっと抱きついた。
「私の夢は、歌手になることです。
歌うことが大好きだから。
今でもその夢は変わらない。
私、絶対に叶えるよ」
「うん。
俺も叶える。
俺は絶対に美容師になる」
その言葉を聞いて私は気づいた。
「あ…!この髪の毛…」
私は自分の髪に触れた。
悠梓くんが切ってくれた髪。
「練習…してるの?」
「うん、俺が憧れてた美容師さんに弟子入りっていうか…
教えてもらってる」
「そっか、そうだったんだ…」
自分の手先が不器用で、美容師に向いていないと言っていた悠梓くん。