声をくれた君に


「それに、上手くなったな」

「ほんと?」

「ああ、ちゃんと音程合ってるっぽい。

あんたが作った曲だから知らないけど…

あの時は、確かにどこか下手だった」

「だ、だから昔の話はだめだってー!」

「いいじゃねーか、昔のことなんだから」

そう言って悠梓くんはイタズラっ子のように無邪気に笑った。

「これであんたも進路調査表に悩まされることはないだろ」

「うん、私も専門学校で決まりだね!」

音楽をやっていくなら、東京に行くしかない。

(せっかくお父さんと元通り生活できるようになったし

家を離れるのは寂しいけど…

でも)

絶対に夢を叶えたい。

それだけは、譲れない。

(そういえば、悠梓くんの専門学校はどこなのかな…

離れ離れに、なるのかな)

「あんたの夢は応援したい。

けど…」

「けど?」

「…あんま、離れたくないな」

「え…?」

「き、聞こえなかったならいい!」

(ふふっ、しっかり聞こえてるんだから)

「私だって、ずっとずっと一緒にいたいんだよ?

だって悠梓くんのこと、大好きだもん」

「しっかり聞こえてるんじゃねーかよ、クソ…」

悠梓くんは照れくさそうに頭をかいた。

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