声をくれた君に
一年後。
私は玄関で靴ひもを締めていた。
「珠李、忘れものないか?」
「うーん、あるかも!」
「おいおい、そう簡単に届けられないんだから…」
「そんなこと言われたって…
必要なものがたくさんありすぎて確認のしようがないんだもん」
右手には、たくさんの荷物が詰められたキャリーケース。
左手には、アコースティックギター。
「まあ、携帯と財布があれば、生きてはいけるよね!」
「そうだな。
困ったら彼もいるし」
「そうだよ、だから心配しないで!」
「それは無理な話だな」
「あはは」
私は立ち上がって、お父さんと向き合った。
「じゃあ、いってくるね」
「本当にここでいいのか?
駅まで車で送ってもいいんだよ?」
「ううん、いいの
ここがいい」
「そうか」
ふたりの間に沈黙が流れた。
「お父さん…
今日までお世話になりました!
まあ、これからもお世話になるんだけどね!」
「そうだな、離れてるってだけで、俺の娘なことに変わりはない」