声をくれた君に
「小さい頃からずっとお母さんは入院してて、
私の近くにはお父さんしかいなかったけど…
でも、大事に育ててくれたから、
こんなにいい子に育ったんだよ」
「ははっ、自分で言うなよ」
そうやって笑いながらも、お父さんの目は涙で濡れていた。
「お母さん死んじゃって…
声が出なくなって
お父さんもこの家からいなくなって
そんな時間がしばらく続いて、確かに辛かったけど…
今こうやって笑っていられるのは、
今日までにお父さんと、あの空白の時間を取り戻すことができたからだよ」
「うん、お父さんも、珠李といろんな話ができて楽しかったよ」
「そっか、よかった」
私は小さく深呼吸した。
「お父さん、
私、楽しかった時も苦しかった時も、全部全部ひっくるめて
すっごく幸せだったよ!
どんな時だって
私はお父さんの娘だったこと、
後悔したことは絶対にないよ!」
「珠李…!」
「お父さん、大好きです!
今日まで本当にありがとう。
私を生んでくれて、育ててくれて
いっぱいいっぱい、幸せな気持ちにしてくれてありがとう!」
(泣かない、絶対泣かない…)
「いってきます!」
私は精一杯の笑顔を見せて、お父さんに背中を向けた。