声をくれた君に


次の日、学校に行くと、やはり佐野くんは不機嫌そうな顔でこちらを向いた。

(やっぱり昨日のメールは返信するべきだったみたい…)

そう思っていると、彼はカバンから何か取り出した。

そしてそれを私の耳につけた。

まわりの音が聞こえにくくなる。

私は何がつけられたのか確認しようと、それを耳から外した。

(ワイヤレスタイプのヘッドホン…)

私は驚いて彼の方を見た。

すると彼は小さく呟いた。

「はっぴー」

(…はっぴー?幸せ??)

突然呟かれた英単語に、私は首を傾げた。

「バースデー」

佐野くんはそう付け加えた。

(バースデー…

ハッピーバースデー…!誕生日!)

私はもう一度ヘッドホンの方を見て、佐野くんの方を見た。

そしてとっさに”ありがとう”と口を動かした。

「大事にしろ」

佐野くんはそれだけ言って前を向いてしまった。

(でも今日はちゃんとお礼言えた…)

もう一度ヘッドホンを見る。

(どうしよう、嬉しすぎる…

佐野くんが誕生日を祝ってくれた…)

誰にも祝ってもらえないと思っていた誕生日。

(ありがとう…)

私はもう一度心の中でそうつぶやいた。



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