声をくれた君に


床に転がり落ちた大量のバスケットボールをかごに入れ、体育館一面をモップがけし、倉庫に道具をしまっていく。

(ボールのかごはこっち、ゼッケンはこっち。

あとはモップを直して帰ろう)

思ったよりゆっくりと片づけてしまったようで、外は暗がりはじめていた。

モップをしまっているとき、ふと思った。

(そういえば倉庫の鍵、誰が持ってるんだろう…

あれがないと倉庫の戸締りができない)

そこまで考えて気づいた。

(あ…!)

けれどもう遅かった。

突然閉まる重たい倉庫の扉。

外からカチャっと南京錠をかける音が聞こえた。

私は慌てて扉の方に近づき、内側から勢いよく叩いた。

「残念だけど中から扉叩いてもあんまり聞こえないから。

出たいなら大声で叫べば?

そっか、櫻田さん声出ないんだったね、ふふっ」

小田さんの声だ。

声の後に去っていく複数の足音が聞こえる。

私はその場に座り込んだ。

(ばかだ…なんで気づかなかったの!)

私は悔しくて何度も扉を叩いた。

(完全に油断してた。

佐野くんと楽しく話して、舞い上がって

掃除押し付けられたくらいで終わるわけなかったのに…)

私はしばらく扉を叩き続けた。




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