音色
 えっ、と思う間もなく、スタジアムジャンパーのようなものを背負わされ、手を引かれる。

 外に先程の白い車が止まっているのが見えた。
 あれに乗るのだろう。そう思ったのに、光は立ち止まったまま。

 行かないの? そう、尋ねようとした矢先に、車は静かにその場を立ち去った。
 無数の女性たちがあとを追う。

 出待ち? もう、かなり遅い時間なのに。
「行ったな」

 にやりと笑った光は、続いて滑り込んできた黒いミニバンの扉が開くと同時に、利香を誘った。
「おいで。飯、食いに行こう」

 
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