音色
「知り合いの店だから、そんなにびくつくことない」
 そんなことを言われ、利香はびくっと肩を震わせた。

「そっ」
 反論しようにも、光がどんどん歩いて行ってしまうので、何も言えないまま、ここでも彼のあとをついて小さな入り口を潜った。

 小ぢんまりとした、店。
 それなりに席は埋まっている。

 カウンターの後ろを通り抜け、細い階段を下ると、奥まったところに座敷らしきものが見えた。
「お待たせ」

 今日初めて見せる柔らかい笑み。
 こんな風に笑っている光を見るのはいつぶりだろう。
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