音色
 柄にもなくどきっとしてしまう。
(ちょっと、光にどきどきするなんて)
 心の中のざわつきを消そうと利香は気づかれないように小さく深呼吸した。

「ひとり、連れてきた。いい? りか」
 誰かいるの……?
 靴を脱ぎながら、光は利香を促す。
 彼の肩越しに覗き込んだ、その座敷にいたのは。

(――――!)
 簡単に想像出来た筈なのに。
 予測していなかった「彼」の姿に、息が止まりそうになった。

「野々部利香。従妹。音楽の先生」
< 24 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop