音色
「お母さん、行ってきていいよ」

 ひとりきりなんて、どうしたらいいのかわからない。
「なに言ってるのよ。『野々部利香様』でしょ? あたしが行ったら光くん弾けなくなっちゃうじゃない」
 ぺしっ。今度は手が飛んできた。

「…………」

 光は利香がひとりじゃないと思わなかったのだろうか。
 いや、思わなかったに違いない。事実、そうだから悔しい。
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