雨の残照【短編】
「わたしにはその価値はわかりません」
幸せということも、わたしにはよく解りません。
しかし、人にとって良いものだということは解ります。
そう言った子供っぽい笑みに、なんだか心が安らぐ。
「あ」
「え? あ、雨が止んでる」
青年の声に顔を上げると、雨はいつの間にか止んでいた。
女性は傘をたたんで再び顔を上げたが、青年の姿はすでになかった。
「ちょっと、どこ行ったの?」
周囲を見回しても人の気配はない。
まさか夢だったのかと、もう一度手のひらを開いた。
そこには、夕闇の迫る中でも輝きを放つ緑の石が小さく彼女を見つめていた。
日は沈み空の雲は赤い光に照り映えて、とても美しく幻想的な空だった。
*****
幸せということも、わたしにはよく解りません。
しかし、人にとって良いものだということは解ります。
そう言った子供っぽい笑みに、なんだか心が安らぐ。
「あ」
「え? あ、雨が止んでる」
青年の声に顔を上げると、雨はいつの間にか止んでいた。
女性は傘をたたんで再び顔を上げたが、青年の姿はすでになかった。
「ちょっと、どこ行ったの?」
周囲を見回しても人の気配はない。
まさか夢だったのかと、もう一度手のひらを開いた。
そこには、夕闇の迫る中でも輝きを放つ緑の石が小さく彼女を見つめていた。
日は沈み空の雲は赤い光に照り映えて、とても美しく幻想的な空だった。
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