。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
な――――に……
が
起きたのか分からない。
はじめての響輔からのキスだって言うのに、あたしはまともに目を閉じることなくただ響輔の背後の景色を凝視していた。
爽やかなシトラスの香り―――
響輔の伏せた目。しっかり合わさった唇。
キス――――してるのよね……今…
口づけはほんの数秒で終わった。
響輔は顔を戻すと、そっとあたしの唇を指でなぞった。
「口紅取れてもうた。ごめん」
よく見ると響輔の唇は少しパールがかかったピンク…この秋新色のグロスが僅かに移っていて、
その唇を見るとあたしたちがキスをしたって事実を思い知らされた。
「……う、ううん」慌てて言うと
「一結――――」
響輔はあたしの頭を抱きよせて
自分の額にこつん、と合わせた。
「ギブアンドテイクって言葉知っとる?」
突如聞かれて、あたしは目をまばたいた。