。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
あたしの部屋に帰りついて、あたしはすぐに響輔にTシャツを脱ぐよう指示。
響輔はベッドの端に腰を降ろし、大人しくあたしの言うことを聞いてTシャツを脱ぐ。
二の腕の部分に横一文字に流れる赤い線を見てあたしは顔をしかめた。
「ちょっと待ってて、消毒液が……」
探している最中に響輔が問いかけてきた。
「さっきの話の続きやけど」
あたしが救急箱を探す手が止まった。
「……うん……」
「俺と付き合うにはそれ相当の対価が必要やよ?
嫌な言い方かもしれへんけど」
「対価じゃなくて決まり事でしょう。わざと嫌な言い方しないでよ。
あたしがピンチのとき毎回都合良く現れるけど、毎回聞きたいことがあるからでしょ」
あたしは響輔の方を見ずに救急箱探しに熱中しているフリをした。
「…………」
響輔は黙り込んで頭の後ろを掻いた。
「あんたと付き合う代わりに、玄蛇の情報を渡す―――でしょ」
「戒さんから聞いてんねんやろ?お嬢のこと―――」
あたしは―――……救急箱を探す手を再び再開しはじめた。響輔に背を向けたまま。
「……聞いたわ。玄蛇が開発した薬のことなんて残念ながらあたしは知らない。
それでも付き合う?」
あたしは―――響輔に払う対価を今持ち合わせていない。
よぅく考えたらあたしの手持ちの札はほとんどと言ってなかった。
ぬか喜びしちゃったじゃない。
これじゃさっきの話も水の泡……
涙が出そうになって、慌てて洟を啜る。手の甲で目元を押さえていると
ふわり
響輔に背後から抱きしめられた。
「それだけやあらへん。
あんたがあの男と寝ない―――て約束してほしい。
約束してくれたらそれで十分や」