。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
キョウスケは出汁巻き卵を頬張ると
「………うま」
ぼそっと一言。
あたしの存在に気づいてないみたいだ。
「それ―――明日の弁当の余り……」
あたしがキョウスケに喋りかけると、キョウスケは驚いたように肩をびくりと震わせ、ゆっくりと振り向いた。
黒いTシャツにハーフパンツ姿。目には黒淵メガネをかけてる。
今、二人きりとか……この状況で何喋りゃいいんだよ!
「よ、よぉ!まぁたレポートやってたんか?
単位落としたら大変だろうけど、無理すんなよ」
何でもないように言って逃げるように台所を出ようとした。
けれど―――何故か足が床に張り付いて動けない。
キョウスケはあたしの質問に何かを返してくるわけではなく、ただ黒い瞳でじっとあたしを捉えている。
あたしはメデューサに睨まれたかのごとく、体を石のように強張らせたまま…
重苦しい沈黙が耐え切れなくて、あたしが再び口を開いた。
「キョウスケって普段メガネしてないのに、PCに向かうときや新聞や本読むときだけメガネ掛けるよな…
ろうが…」
「遠視です」
老眼??と聞きたかったところで、素早い突っ込みが入った。
突っ込まれて、あたしは何でかほっとしたんだ。
いつものキョウスケだ……