。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
あたしは
「悪かったな、さっき感じ悪くて」
小さく謝って、今度こそ台所を出ようとした。
遠くでさっきの名残の雷がまだゴロゴロ唸っている。
ヤベ……早くマサん部屋に駆けこまなきゃ。
そわそわと落ち着かないあたしに
「お嬢は―――」
キョウスケに引き止められた。
今度はあたしが振り向く番。
「お嬢は、会長に失恋されたとき―――新しい戒さんと言う男の出現に戸惑いましたか?
会長のことを、どうやって吹っ切ったんですか」
突然の質問にあたしは戸惑った。
「どうって……そりゃ……」
今度はあたしが答えを探す番。
あたしにとって当時はそりゃ耐え難い苦しみがあったけれど、今はそれほどまで落ち込んでないし、掘り返されたところで何とも思わない。
ただ―――……何て―――答えりゃいいのか分からない。
ぎゅっ……
引き戸をきつく握りしめて、唇を噛んでいると
「すみません……嫌なことを思い出させて。聞かなかったことにしてください」
キョウスケがあたしから顔を背ける。
「恨んで」
あたしは背中を向けようとしているキョウスケに言葉を掛けた。