【完】神様のうそ、食べた。


「腹へってんだよ。あと、お前にもイライラしてるし。近くにまだ空いてるファミレスあるから来い」

半ばそう強引にタクシー乗り場まで連れて行かれそうになったけど、急に部長が立ち止まる。


――おかげで部長の背中に鼻を強打してしまった。

「な、何ですか?」

「あのバイクの男、蓮川の新しい男か?」

「へ? あああ!!!」


ものすっごく悪い形相曰く、睨んで歯をぎりぎり噛み締めているのは、送ってくれた侑哉だった。
帰っていいって言ったのに。

「――お、弟です」

「おっあれがあのマザコン野郎の前歯を折った弟か」

な、何で知ってるの!?
口をパクパクして顔を真っ青にしていると、部長は目を細めて笑った。

「ちょっと待っとけ」

スーツケースを渡されると、部長は単身で侑哉に話しかけに行く。

どうか、いきなり侑哉が殴りかかりませんように。

と神様に祈ったのが効いたのか、ちょっと渋い顔をして侑哉は何度か頷くと、すぐにバイクを走らせて消えて行った。
< 42 / 281 >

この作品をシェア

pagetop