【完】神様のうそ、食べた。
「お前が何をぐだぐだ悩んでいるか知らないが、言いたくなったら聞いてやるから」
「……」
「じゃあ、言わせるから」
何でそんなに自信満々なんだろう。そんなに私は意志が弱くて、部長に簡単に話してしまうような人に見えるのだろうか。
「お前が恋愛から逃げれる理由も一緒なんだろうし。あんなクソ野郎に未練があるわけでもなさそうだしな」
部長はそう言いながらも、それ以上は聞いてこなかった。
一歩だけ近づいたけど、私の傷が見える部分には踏み込まない。
あの人を殴った部長なら、『欠陥品』だと言った彼の言葉を理解しているはずなのに。
言わせたいのは、認めさせたいのかもしれない。
Barに戻っても、部長の隣は息が詰まった。
侑哉の、何で電話に出なかったんだという無言の圧力を気にも留めないぐらい。
どんな風に息を吸えばいいのか分からない。
私今まで、どんな顔で部長の横にいたんだっけ?
分からなくて、ウーロン茶の味もしなくなって、目の前にいる明美先生と有沢さんがテレビの映像のように現実味が感じられなかった。
早く帰りたい。呼吸がしたい。
なのに、神様は残酷だ。居ないと分かっているのに残酷だ。
「ラストオーダーです」