ヒマワリ君の甘い嘘

いやいやいや、そうじゃなくて。


高崎くんて、華のこと好きなの…!?


自分でも驚きが隠せない。


でも、華は……


「華、彼氏いるよ…?」


私が言うと、高崎くんはまたいつもの様に笑う。


「そんなこともちろん知ってるよ」


ケタケタと笑いながら、高崎くんは頬杖をついた。


「ま、俺は今のままで充分だし、白石はいつ見ても可愛いし、解決じゃん?」


か、解決っていうのかなそれ…


まぁ、本人がいいならいいけど。


私は華の味方だし、何とも言えない。


「ハイ。次は立花さんね」


「えっ………私、好きな人、いないですよ...?」


「なんでフライングしちゃうのー!面白くないなぁ…。あ、じゃあ好きだった人は?」


う………、それでもまだ聞いてくるのか…


前好きだった人って……そんなの決まってる。


瞳が茶色くて、笑った顔が暖かい人。

この事を思い出す度に、熱い地面に雨が降った時の独特なあの匂いが鼻を掠める。


「中1の時に、雨が降ってる時、たまたま会った人…です…」


「へー!ロマンチックだね〜。その人とはどうなったの?」


「いや…会ったのはその時だけだから、なんとも...」


重たい空気にならない様に笑って見せる。


わたし…こんなところで自分の好きだった人暴露して、なにしてんだろ……



ガタン。


と、椅子の鳴る音がして、見ると日向くんが立っていて、私と高崎くんが見上げると、


「俺帰るわ」


と言ってカバンを取り上げた。


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