哀しみの瞳
由理を思わない日は、一日も無かった。



同じぐらいの歳の女子学生を見るたびに、由理もこんなにはしゃいで暮らしているのだろうかと思った。



あれから、もう4年の月日が流れた。


美佐子達からは、再三戻って来て欲しいと連絡をもらっていたが、帰る気持ちにはなれずに居た。


由理の引越し先も聞いてはいたが、会いたい気持ちと会えない自分とが、何時相変わらず闘っていた。



どん底な気持ちを誰にも悟られず、孤独に生きて来た。


それに耐えることで、あの人を乗り越えれると思っていた。



俺とその母親に会えずに苦しんだあの人の気持ちが、少しは理解できた。


愛する人と、会えないことが、これ程までに、辛く苦しい事だったとは……



この4年間は、一生分生きたのではないかと思うくらい長く感じていた。
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