哀しみの瞳
理恵は深刻な面持ちで、沙矢に、相談をしていた。



「沙矢ちゃんは、進路きめてるの?」


「私は、武さんの行ってる大学の教育学部へ、行こうと思ってる。理恵は?」


「理恵は……お父さんとお母さんがそのことで、いつも喧嘩してて…秀には、大学へ行った方がいいって、言われてて。それに向かって、頑張るって、約束したのだけど…」


「あらっっ、理恵、秀さんにそう言ってもらってるんなら、大船に乗ったつもりで、頑張れば?」



「そうだけど、何か、とっても不安なの。このまま秀に甘えてていいのかなぁって、
最近お母さんったらね、貴女は秀ちゃんを頼り過ぎっ!もう自分でちゃんと決めて行動とりなさいって。それに、何か私に隠してるみたいで、おかしいの」



「あのさぁ、いきなり聞くけど、秀さんってさぁ、理恵と、どうなりたいとか、思ってるのかなぁ?」


「えええっ?」



「例えば、
理恵と…ずっと、一生、一緒にいたいとか?」



「ええっ、そんなこと……」



「じゃあ、理恵は、どう思ってるの?秀さんの事」




「私は……私は、秀に守られてると、幸せだし…これが、ずっと続けばいいのに。幸せなのになぁって、思うけど、秀は…秀はそれで幸せなのかどうかは、わからないよ!」



「秀さんだって、きっと、理恵―命っだと、思うんだけどなぁ!」



「でも、私、お父さんやお母さんに言われてばかりいると、いつまでも、秀の側をうろうろしてちゃいけない気がするの」



理恵は、そう言いながら、目に一杯涙を浮かべていた。

沙矢は、掛ける言葉を失っていた。
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