哀しみの瞳
電車の外の景色がどんどん自分の知らない景色へと、変わって行く。

言い知れぬ恐怖が理恵に襲って来る。本当にこれで良かったんだろうか?


こうするしかないんだって思うしかないよ。私は、一人じゃない。お腹の中の子供の為にも、強くならないと!


電車の中で剛は、沢山話をしてくれた。今まで、会う事が無かった分。

私を遠くから、たまに見てた事。

あの資料館で、私が秀と会ってることを知ってた事。

自分が私を守る!と宣言したときの気持ちを――


今まで理恵が思ってもみなかったことばかりだった。


剛は、念の為、ばぁちゃん家に出て来る前に電話を入れておいてくれた。


私は、それを聞いて、少し安心したのか、しばらく眠ってしまってた。



「吉川!着いたぞ!」剛は理恵の荷物を抱えて、先に降りて行った。


これから、私の旅立ちが始まるんだ!おばあちゃん家に着いたら、きちんと剛にも、そしておばあちゃんにも、本当の事を話そう。
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