アンダー・ザ・パールムーン
また出そうになった涙を我慢するために、上に向く。
つやつやした真珠みたいな満月が浮かんでいた。
月夜の下、商店名の入った白いちょうちんが鈴なりになって、さわさわと風に揺れている。
「もうすぐお祭りかあ…」
先輩と一緒に来たかった……
涙がポロポロとこぼれて、
足元に咲いていた月見草の黄色い花を揺らした。
もう泣かないって決めたのに。
わたしは鼻をズズッと啜った。
「もう少し、大人だったら東京へ追いかけていくのにな…」
月の真下を煙のような雲が、たなびくように流れていく。
雲は、疾走する馬や丸まった猫、魔法のランプにどんどん形を変えていき、見ていて飽きない。
先輩もネオンとアスファルトに囲まれたどこかで、このお月様と雲を見てるのかもしれないな…
少し元気が出てきたわたしは、ギターケースを肩に掛け直し、また歩き始めた。
「アンダー・ザ・パールムーン」
fin
