涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
驚いたように声を出した真理ちゃんに一瞬でしまったと思った。
……知らんかったんや。
レイの心臓が悪かったこと。
「はい、お待たせ」
東野さんが私たちの目の前に飲み物とケーキが乗ったお皿を置いた。
「ケーキはサービスやけん」
「ありがとう」
美味しそうなチョコレートケーキが乗ったお皿のふちに『サクLOVE』って、チョコペンで書いてある。
苦笑いすると真理ちゃんを見た。
「でも大丈夫やけん!手術して、ちゃんと治ってとるみたいやから」
「うん……」
「私ね?母の再婚でレイの手術の日にこの町を出たの。だからレイの手術がうまくいったかもこの8年間知らなかったし、生きとるかも……知らんやったとよ」
なんて言えばいいかわからん。
落ち込んでしまった真理ちゃんを励ませる力量は私にはないけど。