涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



「咲夜ってさぁ……」


「いきなり呼び捨て?」


「お前も俺のこと呼び捨てやんけ!……ってそうじゃなくて」



ちょっと馴れ馴れしいんやないと?


なんて思って再び歩きだすと目に入った教室のプレート。


……あ、2組ってここか。


わざと置いて行くように再び早歩きをして教室に入った私に圭都が肩を落とした。


クラスに入るとみんなが固まってもう仲良さげに話し込んでいた。


もう友達になっていらっしゃる……?



「もうほとんど顔見知りやけんね〜。ほぼほぼ中学ん時の同級生やし」


「……へぇ〜」



田舎だから、高校なんてそんなにないってことかな。


って、圭都!

近いって!



「え!?誰なん、その子!!」



そして突如飛んできた可愛い声。


そう思ったらその声にぴったりだと思うような小さくて可愛いボブの女の子が小走りでやって来た。


……え?



「圭都の彼女?」


「んなわけなかろうもんっ!」



圭都の知り合い?


いやこのクラス、私以外はほとんど顔見知りなんだっけ。


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