涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
可愛らしく笑う彼女にデレデレしちゃってる現金な圭都を睨んだ。
やっぱり男ってのはこんなんがいいんやろうね。
小動物思わせるような容姿。
くりくりな瞳に短い前髪。
なにが面白いのか全然わかんないけど、ニコニコしてて愛嬌がある。
……ムダに笑わない冷めた私とは正反対。
「じゃあ咲夜ちゃんは引っ越して来たばっかりなんやね!」
「えっ?う、うん……」
いきなり振られた話に、適当にうなずいてしまった。
間違ってはいないから良かったものの。
……やば、話まったく聞いてなかった。
「じゃあよろしくね!私は花城真理(はなしろまり)!」
「……真理、ちゃん……?」
「うん……?そうやけど……?」
聞き覚えのある名前に思わず聞き返してしまった。
真理って確か……。
『はよ行くぞ、圭都。真理たちが待っとう』
あの時レイが言ってた名前やなかったっけ?
うん、そうだ。間違いない。
この子が……真理ちゃんなんだ。
「あっ、麗矢おはよぉー!」
その時、考え込む私の後ろに向かって真理ちゃんが満面の笑みで手を振った。
レイ……?
振り向くとそこには一ヶ月ぶりに見るレイの姿が。
やっぱり、小さい頃からあまり変わっていないね……。
タレた大きな目とか、癒し系な笑顔とか、そのままだ。
教室のドアの方から歩いて来るレイが私を見て一瞬顔を引きつらせたのがわかった。